早期発見の持つ意味
がんは早期発見が大事だと言われています。がん発生のメカニズムが自分自身の体内の細胞分裂の際の突然変異にあることから、早い段階、つまりがんが成長する前に対処(治療)すれば治癒の可能性が高まるわけです。
実際にがんが1cm以下で発見された人の救命率は80〜90%に達しています。
ですから、とめどなく増殖するがんを、どれだけ早く、小さいうちに発見することができるかが重要になるのです。
そのために、さまざまな方法が考えられてきましたが、現在では画像診断がめざましい進歩を遂げています。特にPET(ペット)は一度に短時間で全身をチェックでき、がんの悪性度も映し出してくれるため、転移の有無の判断にも利用され、また、治療の効果判定にも役立ちます。
これにMRI、CTや腫瘍マーカー検査などを組み合わせたものがPETがんドックで、健診型のがん検査として定着してきました。
苦痛や副作用を抑えた
新しい治療法の導入
医学的に効果が認められるがんの治療方法には手術、抗がん剤、放射線治療があります。残念ながらそれぞれにどうしても副作用があるのが現状ですが、総合南東北病院では、すでにメスを入れずに脳の奥の病巣を治療するガンマナイフなど、体に負担の少ない治療法や機器の導入を進めており、その究極のものが陽子線治療です。
また、がん細胞が熱に弱いという性格を利用した『ハイパーサーミア(温熱療法)』や、自己の免疫力を高めてがんを治療する『免疫(細胞)療法』も第4の治療法として注目されています。これらはすでに『東京クリニック丸の内オアゾmc』や『総合南東北病院』に導入され、臨床が続けられています。(こうした治療法については、あらためてご紹介してまいります。)
陽子線治療とその特長
さて、陽子線治療とは、陽子(水素原子から電子を除いた原子核)を用いた『粒子線治療』のひとつです。シンクロトロンと呼ばれる加速器で、陽子を光速近くまで加速して、がんに照射します。
病巣に的を絞ってピンポイントで狙い撃ちできるため、正常細胞を傷つけず、副作用を極力抑えられるとともに、大きな治療効果が得られ、理想のがん治療として実用化が待たれてきたものです。正確に腫瘍の大きさや位置を見極める画像診断と高精度の照射を可能とするテクノロジーの進歩がもたらした究極の治療法とも言えるでしょう。
陽子線の特長はある深さにおいて最大の作用をすることにあります。そのために周辺組織に影響を及ぼさず、がん病巣を焦点化して十分な線量を照射する治療が可能となるわけです。
粒子線照射の有効性が確認されている代表的な疾患は、前立腺がん・肝がん・食道がん・肺がん・頭蓋内病変・頭頚部腫瘍および眼腫瘍などです。いずれの疾患も外科手術や従来の放射線では治療が難しかったものです。
世界から注目を集める
これからのがん治療
実際の照射は1〜2分程度。不快感や苦痛もまったくありません。通院で治療できるというメリットもあり、仕事を続けながら、あるいは一カ月程度の長期休暇で心身をリラックスさせ、ゴルフを楽しみながら治療にあたることもできるのです。これまでのがん医療のイメージとはまったく違った治療風景が見られるようになるかもしれません。
こうした陽子線治療のメリットは、海外からも熱い注目が寄せられています。例えば、高額な医療費を必要とするアメリカでは、国内で陽子線治療を受けるよりも、交通費をかけ、長期滞在をしても、日本で治療を受けるほうが安価である、という現実があるからです。
現在、この陽子線と重粒子線を総称する、いわゆる粒子線治療が行われているのは、兵庫県立粒子線医療センターなど、わが国で数ヵ所にすぎません。『南東北がん陽子線治療センター』は国内で7番目の施設であり、民間では初めての導入となります。
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