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◎医療と健康の“いま”を知る
メディコンパスセミナーから
PETがんドックと陽子線治療
渡邉 一夫 先生
(メディコンパスクラブ理事長・南東北病院グループ理事長) 
がんは治療法の進歩とともに、不治の病ではなくなりました。けれども、がんが見つかると5年間で約半分の方が亡くなってしまいます。未だ日本人の国民病とも言われるがん。医療の最前線でがんの早期発見と早期治療に力をつくす南東北グループ理事長・渡邉一夫先生が語る注目のがん治療―陽子線治療についての講演から。

 

総合南東北病院(郡山市)・PETがんドック宿泊ルームの一例。天然温泉も利用でき、隣接する施設にはPET機器5台(うちPET-CT2台)が備えられている。

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がんとその治療法をめぐって

日本人は1年間に65万人が毎年がんになります。そのうち半分ががんで亡くなる。偉くてもリスクは平等です。がんの死因で一番多いのが肺がんです。胃がんになる人は多くても、亡くなる率は減ってきています。大腸がんも増えています。女性の場合は大腸がんで亡くなる方が多い。

がんの治療はまず、外科的な手術が1番。2番目は化学療法。抗がん剤です。3番目は放射線治療。今は7から8割は外科的にがんをとる。放射線治療は2から3割です。ところが、欧米で多い治療法は放射線治療で、7から8割です。ただし、ぼんやりとX線をあてるのではなく、虫眼鏡で光を集めるように、放射線を一点に集中させて、正常細胞に影響を与えない。ガンマナイフはそうした治療装置で、私たちも備えています。頭に関しては大変優れています。

私たちが始めた陽子線治療は、こうした放射線治療の究極のものです。陽子線は水素の原子核から電子を外したもので、それを1億個集め、光の速さの70%まで加速して病巣にぶつける。がんだけを狙い撃ちできるんですね。がんは細胞の突然変異と考えられ、老化とともに細胞の制御が効きにくくなるので、勝手に増えてしまう。原因は遺伝子の傷と言われています。そのうちに宿主まで殺してしまうわけですね。がんは早い段階で小さいうちに見つけることが大切です。そうすればそこだけ退治すれば治るんです。

陽子線治療は切れ味のいい外科医のメスのような能力がある。これまでのX線は体の浅いところに一番強い放射線があたっていた。表面の細胞が壊れます。放射線が通ったところの正常細胞も影響を受ける。食道がんの場合は心臓もやられるんですね。肺も。副作用がある。それが陽子線だとなくなります。1人2分程度の照射です。

最高のがん検査と治療の提供

国内の陽子線の治療施設はすべて国公立の研究施設です。私たちは世界で初めての民間病院として、研究もやりますが、臨床を第一に考えて治療に役立てていきたい。この会場には経済人の方も多くいらっしゃいますから、経営的なお話にも触れますと、機械は40から50億円、土地や建物まで含めて100億円くらいかかる。

治療費は300万円です。アメリカだと1000万円を超えます。ですから、外国の方が日本に陽子線治療を受けにやってくるようになります。残念ながら、健康保険がききません。民間の任意保険で、先進医療の保険はあります。入ったほうがいいですね。300万円は1回の金額ではなく、一連の治療料金です。病気によって、5回照射するという人もいますし、20回の人もいます。
金額の根拠は、がんで亡くなるまでの治療費が600万円くらいかかるケースが多いと言われていて、早く見つけて治療すると100万円くらい。平均で300万円。柏市の国立がんセンターが算出した値段です。

さて、がん治療には陽子線治療装置だけではだめです。PET(ペット)も必要ですし、CTも、MRIも、治療計画も必要です。郡山市の総合南東北病院にはPET5台と3.0T(テスラ)の最高のMRIがありますが、そうした検査機器も当然完備しています。

陽子線治療で私が狙っているのは悪性脳腫です。世界でも、頭の陽子線治療はあまりやっていないのですが、それは陽子線が最新のテクノロジーだから、臨床の数や応用がまだ少ないという意味です。けれども、これからの可能性は大きいのです。

がんは早く見つかれば治療して治せますから、早く見つけることが大事です。そのためにはPET検査を軸にしたがんドックが一番いい。もちろん100%ではないけれども、限りなく100%に近くなる。しかも体に負担が少なく、全身を短時間で一度にスクリーニングできる。

私たちはこうした最新の医療をご提供することで、皆さんの健康な暮らしを維持するお手伝いができるのではないかと考えています。
ご家族の皆さんのためにも一年に一度くらいは体を休め、健康を維持するための検診を通して自分の体を見直してみて下さい。自分の健康を守ることは社会的な責任を果たすことにも繋がります。

 

早期発見の持つ意味

がんは早期発見が大事だと言われています。がん発生のメカニズムが自分自身の体内の細胞分裂の際の突然変異にあることから、早い段階、つまりがんが成長する前に対処(治療)すれば治癒の可能性が高まるわけです。

実際にがんが1cm以下で発見された人の救命率は80〜90%に達しています。
ですから、とめどなく増殖するがんを、どれだけ早く、小さいうちに発見することができるかが重要になるのです。

そのために、さまざまな方法が考えられてきましたが、現在では画像診断がめざましい進歩を遂げています。特にPET(ペット)は一度に短時間で全身をチェックでき、がんの悪性度も映し出してくれるため、転移の有無の判断にも利用され、また、治療の効果判定にも役立ちます。

これにMRI、CTや腫瘍マーカー検査などを組み合わせたものがPETがんドックで、健診型のがん検査として定着してきました。

苦痛や副作用を抑えた新しい治療法の導入

医学的に効果が認められるがんの治療方法には手術、抗がん剤、放射線治療があります。残念ながらそれぞれにどうしても副作用があるのが現状ですが、総合南東北病院では、すでにメスを入れずに脳の奥の病巣を治療するガンマナイフなど、体に負担の少ない治療法や機器の導入を進めており、その究極のものが陽子線治療です。

また、がん細胞が熱に弱いという性格を利用した『ハイパーサーミア(温熱療法)』や、自己の免疫力を高めてがんを治療する『免疫(細胞)療法』も第4の治療法として注目されています。これらはすでに『東京クリニック』、『総合南東北病院』に導入され、臨床が続けられています。

陽子線治療とその特長

さて、陽子線治療とは、陽子(水素原子から電子を除いた原子核)を用いた『粒子線治療』のひとつです。シンクロトロンと呼ばれる加速器で、陽子を光速近くまで加速して、がんに照射します。

病巣に的を絞ってピンポイントで狙い撃ちできるため、正常細胞を傷つけず、副作用を極力抑えられるとともに、大きな治療効果が得られ、理想のがん治療として実用化が待たれてきたものです。正確に腫瘍の大きさや位置を見極める画像診断と高精度の照射を可能とするテクノロジーの進歩がもたらした究極の治療法とも言えるでしょう。

陽子線の特長はある深さにおいて最大の作用をすることにあります。そのために周辺組織に影響を及ぼさず、がん病巣を焦点化して十分な線量を照射する治療が可能となるわけです。

粒子線照射の有効性が確認されている代表的な疾患は、前立腺がん・肝がん・食道がん・肺がん・頭蓋内病変・頭頚部腫瘍および眼腫瘍などです。いずれの疾患も外科手術や従来の放射線では治療が難しかったものです。

『南東北がん陽子線治療センター』の全体イメージ

世界から注目を集めるこれからのがん治療

実際の照射は1〜2分程度。不快感や苦痛もまったくありません。通院で治療できるというメリットもあり、仕事を続けながら、あるいは一カ月程度の長期休暇で心身をリラックスさせ、ゴルフを楽しみながら治療にあたることもできるのです。これまでのがん医療のイメージとはまったく違った治療風景が見られるようになるかもしれません。

こうした陽子線治療のメリットは、海外からも熱い注目が寄せられています。例えば、高額な医療費を必要とするアメリカでは、国内で陽子線治療を受けるよりも、交通費をかけ、長期滞在をしても、日本で治療を受けるほうが安価である、という現実があるからです。

現在、この陽子線と重粒子線を総称する、いわゆる粒子線治療が行われているのは、兵庫県立粒子線医療センターなど、わが国で数ヵ所にすぎません。『南東北がん陽子線治療センター』は国内で7番目の施設であり、民間では初めての導入となります。

 

【陽子線治療の特長】
●正常組織への損傷が少なくなります。
●放射線の影響を受けやすい器官の近くにあるがん細胞にも照射できます。
●患者様の負担が減ります。高齢者にも優しい治療法です。
●治療後の社会復帰に支障をきたさない治療法です。

 

 

南東北がん陽子線治療センターオフィシャルサイト>>click

 

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