メディコンパス/2026年4月取材:Tokyo General Hospital

総合東京病院 院長
中野 雅嗣 先生に聞く 心臓や血管の病気とカテーテル治療

総合東京病院 新院長として
循環器専門病院にも匹敵する心臓血管センター


南東北グループ
医療法人財団健貢会 総合東京病院 院長/ 循環器内科部長/ 救急センター長
メディコンパスクラブ理事
中野 雅嗣 先生
Masatsugu Nakano M.D., Ph.D.
 

専門分野/得意な領域
循環器内科一般
冠動脈カテーテルインターベンション治療
末梢血管カテーテル治療

専門医・指導医等
● 日本循環器学会認定循環器専門医
● 日本心血管インターベンション治療学会
  認定心血管カテーテル治療専門医
● 日本内科学会認定内科医
Profileプロフィール
1996年 東邦大学医学部 卒業
1996年 東邦大学医学部 大森病院 第二内科研修医
1998年 済生会神奈川県病院 内科研修医
2001年 川崎社会保険病院 循環器内科研修医
2003年 東邦大学大森病院 循環器センター
     心血管インターベンション室助手
2005年 博士号取得
2007年 済生会横浜市東部病院 循環器内科医長
2015年 総合東京病院 循環器内科部長
2026年 総合東京病院 院長 現在に至る

総合東京病院は、脳・心臓疾患を中心とした急性期医療をはじめ、がんや、全身の慢性疾患などに対する高度専門医療を提供しています。
新院長に就任した中野雅嗣先生は、循環器内科を専門とするカテーテル治療のスペシャリストです。30年にわたり臨床の第一線で活躍し、狭心症や心筋梗塞に加え、鎖骨下動脈、腎動脈、下肢末梢動脈など、全身の血管疾患の治療に取り組んできました。
中野先生は院長就任にあたり、「医療の質を高めること」、そして「患者さんやご家族に寄り添う思いやりと優しさを大切にしたい」と語ります。
今回は、新院長として描く総合東京病院の将来像と、循環器診療への思いについてうかがいました。

高度医療を実践する総合東京病院

総合東京病院の特徴

— 令和8年(2026年)4月から総合東京病院の院長に就任されました。お気持ちと今後の抱負をお聞かせください。

院長を拝命し、大変光栄に思っております。同時に責任の重さも感じており、身の引き締まる思いです。
総合東京病院は、心疾患、脳血管疾患をはじめ、がん治療や認知症医療など、総合的な医療を展開しており、高度先進医療の推進に力を注いでおります。
患者さんにとって最適な治療を提供するために、今後も新しい医療技術や機器を積極的に導入して、質の高い診療体制を整備していきます。また、医療の高度化・専門化が進むなか、医師だけでなく、多職種が連携するチーム医療の充実を目指します。
同時に、医療の質や内容だけでなく、患者さんに寄り添う姿勢を大切にしながら、心の通った医療ができるよう努力してまいります。

「脳」「心臓」「大血管疾患」を中心とする高度急性期医療体制

— 脳・心臓・大血管疾患に対する救急対応について、総合東京病院ではどのような体制を整えていますか。

総合東京病院は、救急医療を病院の重要な柱と位置づけ、一刻も早く診断と治療を要する脳や心臓、大血管疾患に対して、迅速に対応できる医療体制を整えております。夜間においても高度な医療を提供することで、一人でも多くの患者さんの命を救い、後遺症の軽減に努めております。診療を行うための設備の充実にも力を入れており、救急センターに専用のCTとMRIの画像診断装置を配置し、救急外来に隣接して脳卒中ケアユニット(SCU)、上階には循環器治療ユニット(CCU)を設置しております。さらに、ハイブリッド手術室と、手術室2室を増設して、緊急治療を行っています。
救急医療は、地域の安心を支える基盤であり、24時間365日、救急患者さんや紹介患者さんを受け入れて、より広範な救急疾患に対応できるよう診療体制の強化を進めています。
当院は、地域医療支援病院であり、救急医療だけでなく、日常の診療においても「困ったときにすぐ受診できる」頼られる病院でありたいと考えております。
近隣の医療機関をはじめ、介護・福祉関係者との連携を深め、病気の予防・早期発見から、急性期、回復期、リハビリテーションに至るまで、繋がりながら継続していく医療体制を構築し、皆さまの期待に応えられる病院づくりに取り組んでまいります。

 

総合東京病院 心臓血管センターと循環器疾患

循環器内科 特にカテーテル治療が専門

— 医師を志したきっかけ、循環器内科を専門に選ばれた理由を教えてください。

私は、僻地医療に従事した医師である父の背中を見て育ちました。地域の人々のために昼夜を問わず診療にあたる父を尊敬し、医師を志しました。
医学部を卒業後、命を救う医療に携わりたいという思いから循環器内科の道に進みました。循環器内科とは、心臓と血管の病気を専門とする内科です。狭心症・心筋梗塞、不整脈、心不全、高血圧、動脈硬化などが対象で、診断、薬物治療、カテーテル治療、生活習慣の指導などを行い、命に関わる疾患の治療と予防を専門とします。
循環器内科医としては、特に心臓カテーテル治療を中心に、たくさんの患者さんを治療してきました。また、以前所属していた急性期病院では開院とともに、循環器内科の立ち上げに参加し、当院でも循環器センター長の塚原玲子先生とともに、循環器内科を新たに創設しました。
心臓カテーテル治療の経験は30年に及び、心臓だけでなく、鎖骨下動脈、腎動脈、下肢末梢動脈など、全身の血管疾患の診療やカテーテル治療を行います。
今日では、カテーテル治療に用いるデバイスの進歩が著しく、心房細動のカテーテル治療をはじめ、より安全な治療ができるようになりました。

総合東京病院の心臓血管センターについて

— 「総合東京病院 心臓血管センター」の特徴についてお聞かせください。
 
当院の心臓血管センターは、循環器専門病院にも匹敵する機能と規模を有しています。循環器内科と心臓血管外科が連携し、1つのセンターとして診療を行っています。
内科はカテーテル治療や不整脈治療、外科は弁膜症や大血管の手術を担当します。包括的な治療体制を整え、放射線技師、 臨床工学技士、CCUの看護師によるチーム医療を行っています。

— 循環器疾患にはどのような病気が多いのでしょうか。
 
冠動脈という心臓の血管が原因となる虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や、心房細動を代表とする不整脈などが多く、最近では高齢化の進展に伴い、不整脈、特に心房細動が増えている印象があります。

— 予防ということも含めて、自覚症状が出にくい心臓や血管の病気への注意点はありますか。
 
症状がなくても、定期的に健診を受け、必要に応じて専門医を受診することが重要です。
健診では、心電図、聴診による心雑音の有無、血圧、血糖、脂質などを確認します。特に、LDLコレステロールや血糖値などの検査データは、心疾患のリスク評価に重要です。
もしも要精密検査と判定された場合や、気になる症状がある場合は、早めに受診してください。外来では、気になる症状をうかがい、検査を実施して診断を行い、生活習慣の改善も含めた治療方針を決めていきます。
そのため、日頃から患者さんのお話を丁寧に聞くこと、そして病状や検査内容を分かりやすく説明し、しっかり理解していただくことを大切に診療を行っています。

心臓血管センターの循環器治療ユニット(CCU)
急性心筋梗塞など高度な専門治療と集中看護を提供する
循環器疾患の集中治療室

 

特色のある専門外来

— 循環器内科に関連して、スマートウォッチ外来、フットケア外来など、特徴的な専門外来があるとお聞きしました。どのような内容なのでしょうか。
 
当院の循環器内科では、一般外来とは別に、専門医による特殊外来を設置しています。
スマートウォッチ外来は、主にアップルウォッチを利用している患者さんを対象に、発作性不整脈を検出・評価する外来です。
足の血流障害(閉塞性動脈硬化症)などを診るフットケア外来(足病治療外来)もあります。
さらに、肥満外来や睡眠時無呼吸外来なども設置し、循環器疾患と関連する病態に幅広く対応しています。

健康へのアドバイス

— 心臓や血管を守るために、日常生活で気をつけることは何ですか。

全身の血管の健康のためには、血圧管理や正しい生活習慣が欠かせません。基本は食事と運動です。
食事は塩分と脂質を控えること。運動は1日30分程度の歩行です。高血圧や動脈硬化を防ぐための生活習慣として、こうしたことを継続してください。
 
— 加齢とともに注意すべき点は?
 
脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める「自覚症状のない不整脈」や、「隠れ高血圧」「早朝高血圧」などに注意しましょう。
「隠れ高血圧(仮面高血圧)」は、病院では正常(140/90mmHg未満)でも、家庭や職場で血圧が高くなる(135/85mmHg以上)タイプの高血圧です。
「早朝高血圧」は、起床後1時間以内の家庭血圧が高値(135/85mmHg以上)を示すもので、脳卒中や心筋梗塞のリスクが約2・5倍に高まるとされており、注意が必要です。
 
— 健康診断や人間ドックの重要性についてどうお考えですか。
 
年に1回は必ず受けるべきです。早期発見、早期治療を心がけ、健康維持に役立ててください。
基本的な健診に加えて、がん、脳卒中、心血管疾患といった三大疾病については、専門ドックの受診をお勧めします。早期発見できれば、重症化を防ぎ、治療成績の向上が期待できます。また、早い段階で治療を開始することで、体への負担が少ない治療を選択できる可能性も高まります。
 

地域の安心を守る 総合東京病院の医療の現場

心疾患・脳卒中に挑む

— 救急センターについてご紹介ください。
 
当院の救急搬送台数は増加傾向にあります。2025年度の年間搬送台数は約6700台に上り、夜間・休日の救急外来を受診する患者さんについても、積極的な受け入れに努めています。
 心疾患領域では、救急医療体制の強化を進めており、2018年にはその実績が評価されて東京都CCUネットワーク(重症心疾患に対する東京都救急ネットワーク)に参加しました。
 脳梗塞治療では、tPA静脈内投与による血栓溶解療法(注)に加え、カテーテルによる機械的血栓回収療法を24時間体制で実施し、日本脳卒中学会から「PSCコア施設」として認定されています。さらに2025年には、東京都脳卒中急性期医療機関(血栓回収療法実施医療機関)として認定され、脳卒中の疑われる患者さんに対する迅速かつ適切な急性期治療に取り組んでいます。
(注)tPAとは、脳血管に詰まった血栓を溶かし、血流を再開させる薬です。発症から4.5時間以内の脳梗塞が適応とされ、迅速な救急搬送が求められます。

血管造影装置を3台有する心臓血管センター
カテーテル室

心臓集中治療室(CCU)4床

命を守る現場で

— 非常に感銘を受けたお話として、2020年の新型コロナ感染症との闘いがありました。中野先生が最前線で尽力されていたことをよく覚えています。
 
パンデミックの際には、病棟に2週間泊まり込みで対応しました。循環器病棟には急性期の患者さんも多く、看護師も防護服を着用して懸命に看護に当たっていました。厳しい感染対策のもと、現場は非常に過酷な状況でしたが、医療を止めるわけにはいきません。皆で協力して、あの災害を乗り越えました。
— 命にかかわる医療の現場で、循環器の医師は常に緊張を強いられるのではないかと思います。ストレス解消法や休日の過ごし方について教えてください。
 
喫茶店で新聞を読みながら、甘いコーヒーを飲んで過ごす時間が気分転換になっています。休日は読書や散歩をして過ごすことが多いですね。健康管理も大切ですから、日常的な飲酒は控えています。

今後への抱負とメッセージ

— 最後に、今後へ向けた抱負と会員の皆さんへのメッセージをお願いします。
 
医療環境が大きく変化するなかでも、「すべては患者さんのために」という理念のもと、地域の皆さんが安心して受診できる病院であり続けられるよう努めてまいります。
 また、会員の皆様には継続的で質の高い医療サービスを提供できるよう、首都圏では、総合東京病院と東京クリニック(千代田区大手町)が連携し、医療やドックの充実と、きめ細かなサポートに取り組みます。
 これからも皆様の健康を支えるパートナーとして尽力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
 

中野雅嗣院長はカテーテル治療の専門書も多数執筆しています。
また、カテーテル治療の実際を学ぶライブデモンストレーションにおいて、心臓と下肢末梢血管カテーテル治療の術者として選出された経歴を持ちます。
左:「PCIの基本とコツ」(羊土社)
右:「エキスパートはこう考える」(メヂカルビュー社)

ハイブリッド手術室
手術室と血管造影室(カテーテル室)の機能を一体化させた手術室


南東北病院グループ 医療法人財団 健貢会 総合東京病院

 451床(急性期292床・回復期159床)
■ 〒165-0022 東京都中野区江古田3-15-2

総合東京病院では、PET-CTがんドックや脳・心臓ドックなど、予防医学の充実を図るとともに、新しい医療技術や医療機器の導入、専門性の高い医療体制の充実により、急性期から回復期まで、途切れることなく質の高い医療サービスを提供しています。

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